鹿児島県道42号沿いに「竹原田(たこいだ)の田の神」の看板を見つける。そこからちょっと登っていける。見上げると、田んぼの端の畔の上にタノカンサァ(田の神像)が立っていた。場所は鹿児島県薩摩川内市の入来のうち。大宮神社(おおみやじんじゃ)から200mくらい離れたところである。
タノカンサァ(田の神像)は、鹿児島県や宮崎県のあちこちで見かける。五穀豊穣の守り神であり、子孫繁栄の神様でもある。18世紀頃から島津氏の領内で盛んに作られるようになったようだ。
詳しくはこちらの記事にて。
畔の上のほうへ登ると、こんな感じで祀られている。像のまわりはきれいに手入れされていて、真新しい榊も供えられている。
田の神像は、けっこう出来栄えにバラツキがある。上手なものもあれば、そうでないものもある。で、この「竹原田の田の神」はとてもデキがイイ。腕の立つ石工が造ったものだろうか。
頭にかぶった大きな笠は、シキという米を蒸す道具である。右手には棒状の何かを持つ。先が折れているが、たぶんメシゲ(シャモジ)であろう。よく見ると右足を踏み出している。田の神舞(たのかんめ)を始めようとしている仕草か。躍動感がある。
顔はやや摩耗している。はっきりわからないが、笑っているように見える。
背中には銘があり。「奉寄進」「宝暦四」の文字が確認できる。宝暦4年(1754年)に造立されたものだ。
後ろ姿はこんな感じ。タノカンサァ(田の神像)には陽石の要素もあるのだ。