元養母(もとやぼ)というところでタノカンサァ(田の神像)を見つけた。ちょっと祭壇風のものが設けられて、その上に立つ。田園風景を見守っている。ここは薩摩半島中部の山間にあり、隠れ里のようなところだ。

タノカンサァは江戸時代の薩摩藩領(鹿児島県と宮崎県南部)で見られる。地域の守り神、五穀豊穣や子孫繁栄の神として親しまれている。集落ごとに祀られているような感じで、その数は鹿児島県内だけでも2000体を超えるとも。とにかく、たくさんある。
タノカンサァ(田の神)の詳細はこちらの記事にて。
その姿にはタイプがいくつかある。もっとも多いのがメシゲやお椀を持った田の神舞(たのかんめ)を模したものである。ほかには衣冠束帯姿のもの、僧形のもの、石碑や自然石のものもある。
元養母の田の神は、衣冠束帯姿の像である。高さは約92㎝。幅は40㎝ほど。ちなみに、養母のあたりには衣冠束帯姿の田の神像がいくつかあるそうだ。

風化してわかりにくいが、顔は眉がつりあがった憤怒の相。アゴヒゲもある。手には笏を持つ。

背面には「奉造立田之神一躰 明和六己丑十二月吉日 庚申講人数相中」と刻まれている。明和6年12月(1770年1月頃)に庚申供養で造立されたものだという。

同じ場所にタノカンサァと思われる像がもう1体。由緒などはよくわからず。こちらも衣冠束帯姿の立像だ。

<参考資料>
『東市来町の田の神・石橋・石敢当』
発行:東市来町教育委員会 1984年
ほか
