ムカシノコト、ホリコムヨ。鹿児島の歴史とか。

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日木山里の田の神、笑顔がステキすぎる!/鹿児島県姶良市加治木

タノカンサァ(田の神)は、愛嬌のあるものが多い。鹿児島県姶良市加治木町日木山には、いいカオをしたタノカンサァがいる。「日木山里の田の神」と呼ばれている。

 

田の神像は南九州では日常風景の中にある。18世紀頃から島津氏の領内(鹿児島県と宮崎県)で作られるようになったと考えられる。かなりの数が残っていて、種類もいろいろ。詳しくはこちらの記事にて。

rekishikomugae.net

 

 

 

 

加治木日木山には蔵王岳という山がある。もこっとした形が特徴的でけっこう目立つ存在だ。その麓に「日木山里の田の神」はいる。

 

もこっとした山

蔵王岳

 

高速道路沿いの道から、小路を入っていくといた。花が供えられ、造花でも飾り付けがされている。大事にされていることがうかがえる。

 

山の麓に田の神像

タノカンサァと対面

 

石像は田の神舞(タノカンメ)の様子をあらわしたもの。右手にはメシゲ(しゃもじ)を持ち、頭にはシキ(米を蒸すときに使う藁製の道具)をかぶる。左手はシキおさえるような仕草である。高さは80㎝ほど。

 

田の神像

日木山里の田の神

 

作者は名島喜六(なしまきろく)と伝わっている。天保年間(1830年~1844年)に活躍した名石工とのこと。この情報の真偽についてはなんとも言えないが、像の出来栄えはものすごくいい。


素材は「二瀬戸石(ふたせといし)」である。加治木では「加治木石」といういい石が採れる。「二瀬戸石」も「加治木石」の一種で、蔵王岳の麓で切り出される。加治木石は南九州に多い溶結凝灰岩である。火山の噴出物が冷え固まったもので、方形にきれい割れる。加工がしやすく、耐久性が高く、火や酸にも強い。

いい石を使っているからなのか、とてもいい状態で残っている。

 

このタノカンサァ(田の神)は、なんと言っても表情が素晴らしい。いい笑顔だ!

 

石像の表情

笑っている

 

笑顔の像

違う角度から

 

横から見ると、しゃがんだ状態から立ち上がるような感じの姿勢。この姿を見て、なんだかターミネーターを思い出した。

中腰の像

動き出しそうな感じ

 

同じ場所には石仏もあった。由来はわからず。写真後方の石仏は頭を壊されているようで、かわりに丸い石が置かれていた。

石像群

石仏

 

加治木郷土館(姶良市加治木町本町)の敷地内にも、似た雰囲気のタノカンサァ(田の神)がいる。ポーズが同じ。素材も加治木石っぽい。

 

田の神像

加治木郷土館にあった田の神