鹿児島県姶良市蒲生町に「漆(うるし)」というところがある。けっこう山奥のほうへ入っていくような感じだ。林道を車で進むと開けた場所に出る。田んぼが広がっている。
田園地帯の辻にタノカンサァ(田の神)がいる。「漆の田の神」と呼ばれている。
タノカンサァ(田の神)は、鹿児島県と宮崎県で見られる神像である。五穀豊穣・子孫繁栄の神様である。像は18世紀頃以降に造られたものが多い。詳細についてはこちらの記事にて。
「漆の田の神」は、田の神舞(タノカンメ)の姿を模したものである。大きめのメシゲ(しゃもじ)を両手で抱えている。頭には大きなシキ(米を蒸す道具)をかぶり、着物ははだけている。高さは108㎝あるそうだ。
像の横には石碑がある。そこには享保3年(1718年)に置かれたことが記されている。
表情は微笑んでいるようにも見える。
ちょっと離れた場所にタノカンサァ(田の神)がもう1体。土地整備事業の記念碑と並べて置かれている。「竹牟礼の田の神」というそうだ。こちらもけっこう大きめである。高さは1mくらい。風化が進んでいるが、形はなんとなくわかる。
山里の暮らしを、タノカンサァが見守っている。